hakubisinsの日記

30代、人として底辺なおっさんの後悔やら思ったこと等

おっさんの回想 ~深淵に飲まれる(物理的に)~

2.3年前の春の事である。

仕事が珍しく残業となり、職場を出たのが22時だった。

正直くたくただったが、帰路の車の中、あることを閃いた。

3月の末、最近の桜は咲くのが早い。まさに満開の時を迎えていた。

職場のある市は市役所や体育館、図書館、競技場などが一か所に集中している。その一帯が広い公園となっていた。水路沿いに桜も多く植えられている。

コンビニで100円の団子と苺牛乳を買い、体育館用の駐車場に車を止める。そして競技場へと続く道を歩けば見事な桜が咲いていた。

ライトアップの意図は無いのだろうが、街灯が良い具合に桜を照らして綺麗だった。

ブロックに腰を掛け、団子を頬張る。

冬明けの早春、夜風がやわらかく感じた。

桜は風に流されて音も無く揺れる。

周囲に人の気配は無く、遠くから時折車が走り抜ける音がするのみ。

大勢の人混みの中で喧騒を聞きながら花見をするより、ずっとイイ。

 

悦に浸りながらしばらく座っていると、視界が急に真っ暗となった。

何事かと思った。めっちゃ怖かった。

辺りを見渡すと、はるか遠くに電気の明かりが見えた。けど敷地内の街灯はすべて消えていて足元が見えない。というか、自分の掌すら見えなかった。

光に向かって歩き出してすぐ躓いた。コンクリートのブロックだ。

仕方が無いので足を上げず摺り足でゆっくり進む。木にぶつからないよう両手を前に突き出す。たぶん、ゾンビみたいに歩いていたと思う。暗闇の中、人にもし出くわしていたら悲鳴を上げられたのでは‥‥。

車両侵入防止用の鎖やポールに何度も足をぶつけ、木や電柱等に手をぶつける。不意打ちにぶつかるとかなり痛い。

途中、スマホで懐中電灯代わりに出来ないかと模索したが、やり方がわからなかった。とにかく、真っ暗なのが怖くて少しでも明かりに近づきたかった。

遠くに見えた明かりに近づいていくと、駐車場に着いた。明かりの正体はコンビニの明かりだった。光のありがたさを身をもって知ったでき事だった。

 

たぶん、22時過ぎ、ある時間になると公園内の街灯を全部消すのだろう。

正直かなりビビったけど面白い経験だった。

 

人の恐怖心から想像が膨らみ、妖怪という概念が生み出されるとか聞いたことあるけど、ほんと同感。後ろから何かが追いかけてくるような気配がずっとしていた。

恐怖心ってのは本当に興味深い。

 

追伸 プチパニック状態だったけど団子と牛乳のゴミは手放さなず持ち帰っていた自分がちょっと好きになった。自然に楽しませてもらった人が自然を汚すな。