正論と正解
これ書く時ある事件を思い出した。
栃木だったか。電車の中でタバコを吸う人に注意をした高校生。
逆切れされ暴行されたけど、彼は間違った事を言っただろうか?
正論だった。にもかかわらず彼は酷い目に遭い、注意もせず、暴行される高校生を助けない人々は無傷だった。
注意した高校生。注意しなかった他の客。
どちらが正論なのか。どちらが正解なのか。
本題。
ジャニーズ事務所の前社長による性被害。
ニュースで、新社長になった東山さんや井ノ原さんが記者会見が報道されていた。
それをテレビで見た母は「気持ちが悪い」と言っていた。
活躍していた当時、彼らは少年だった。彼らは被害者だった可能性もあるし、それを事務所の人間に見て見ぬふりされていた可能性だってある。まず悪いのは運営する側ではないのか、と。
それに雇い主の行動に「否」と正面切って言える人がどれだけいるんだと言っていた。
事務所のスタッフだって見て見ぬふりしてたんじゃないの?
テレビ業界の人だって知らなかったとは思えないんだけど。
記者も事情を知ってたんじゃないの?
なんでジャニーズの、売れてる人だけ責められるのか?事務所の人々はどうなのか。
前社長が生きていた時はその影響力が怖くて、みんな見て見ぬふりしてたんじゃないの?
そんな事を顔を歪めて言う。
言われて、確かに、と僕も思った。
自分が同じ立場ならどうしただろう?
もし雇い主が、社長がそういった行いをしていて止められるか?諫言できるか?
無理。僕は見て見ぬふりをすると思う。
諫言したら仕事を貰えなくなるんじゃないか。芸能界の人間なら一般人以上に死活問題ではないか。
周りも見て見ぬふりをしているだろう。知らないはずない。だから僕だっていいじゃないか。
きっとそう考える。
よくないとこだとは思う。けど正しい選択では生きていけない場面もある。
正しいことをして禍が降りかかることは多い。
政界だって、重鎮に逆らえば干されるだろうし
会社だって、上司に逆らえば干されるだろうし
学校だって、場合によっては意見の違いだけで仲間外れのターゲットにされる可能性がある
僕は歴史を題材にした本が大好きなのだけど、その中でも、過ちをおかす主君に諫言をした家臣が悲惨な結末を迎える話はごまんとある。
それが正しい行いだったとしても。
生きにくいね、いつの時代も組織は。
性的虐待は悪いことだと思うけど、見て見ぬふりをした(かもしれない)『一部の』人だけを批判するのはどうかと思う。
東山さん達を矢面に立たせた事務所の職員やテレビ局の人達は、あの会見をどう見ていたのか。
まるで対岸の火事を眺めるような他人事のように眺めているのだろうか?
売れている時はちやほやして、足元に火種が飛んで来たら泥を飛ばしながら速攻逃げる。
それもどうかと思うんだけど。
「見て見ぬ振りも加害者である」
それは正しいと思う。だからこそ僕の胸には痛く刺さる。
あなたはこの言葉を口にしたとき、後ろめたさを感じたりするだろうか。
後ろめたさを感じるのが真っ当なのか、
後ろめたさを感じないのは、本当に真っ当なのか。